2000 IEAD

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IEAD – 環境芸術学会 (Institute of Environmental Art and Design)は2000年に発足した。山口勝弘は2000年度と2001年度に会長、そして大会委員長を努めた。

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環境芸術学会の発足に際し(プレスリリース用)

このたび私たちは、新しい芸術・デザイン活動のフィールドとして環境をキーワードに選んだ学会を発足させることに致しました。本来自由な創造活動であるべき芸術・デザインの分野が、学会という組織を選んだ理由には次のような目的があります。

第ーには、現代の芸術・デザイン活動はもはや個人の単位で行われるものではなく、人間社会や環境とのかかわりを無視することはできません。むしろ積極的に社会への要求に答え、自然環境や人工環境や情報環境の中で制作活動が行われている時代を迎えております。

第二には数多くの芸術・デザイン系大学で研究教育活動を行っている芸術家やデザイナーが増えております。こうした背景を考えた上で、21世紀を目指した環境芸術という分野の幅広い可能性に注目致しました。学会成立の趣旨については別紙「環境芸術学会の趣意書」をご覧ください。次にこの学会の対象とする分野は、野外彫刻や公共芸術はもとより、情報環境のようなコンピュータとネット上の仮想環境も対象に入ってきます。一方ではまた造園や多様な居住環境や地球の生態系、宇宙空間や音風景(サウンドスケープ)など五感にかかわるものも含まれるでしょう。

こうした広がりを想定していることは、当然芸術や学問の垣根を超えた交流の中から共同研究や共同制作が生まれ、また地域社会や新産業との結びつきから今までにない芸術・デザイン分野の創出が始まることを期待しております。

環境芸術学会発起人会


環境芸術学会設立趣意書

現代の日本では、戦後半世紀をかけて構築してきた社会における諸制度が多くの矛盾した問題に直面しており、緊急な再検討を迫られている。当然その再検討の中には文化の社会的役割についての問題も含まれており、それらの問題を解決するためには、芸術・デザインに関する実践的活動及び学問的研究が求められると同時に、社会的役割を検討するための新しい組織の設立が必要とされる。今回私たちが環境芸術学会の設立を意図した理由は、芸術・デザインの諸問題を幅広い視野の中から把握する必要に迫られていることを痛感し、その再検討のための全く新しい視点を確立するための場をつくりださなければならないと考えたからである。

そのための重要なキーワードとして「環境」という言葉が選ばれた。「環境」という概念を新しい視点から再定義することによって、芸術・デザインが現在置かれている立場の展望を明確に行うことを意図している。

すでに1960年代から世界的に環境という言葉が、芸術・デザインに結びつけられながら語られてきた。近代の芸術・デザインが新しいパラダイムを確立していった過程のなかで、自立的存在としてつくり上げられると同時に、専門分化が始まり、総合的な視点を失っていった時、環境という概念が導入されたのである。

そして1970年代以降、地球的視点から環境を見つめ直す立場が支持され始め、いわゆる大量生産消費によってもたらされる石油エネルギー資源の枯渇や環境汚染に対する関心が高まった。さらに人類が宇宙空間から青い地球の姿を認識し、バックミンスター・フラーの先駆的哲学に基づいた「宇宙船地球号」としての地球環境が把握され始めたことが、こうした新しい環境観を育てることにつながった。一方、社会のコンピュータ化、地球規模での情報化が始まり、20世紀後半以来、情報技術革命が進んだ。そうして、自然的環境と人工的環境のみならず、電子的環境に包まれているという、新しい人間の姿を確認しなければならなくなったのである。

環境芸術学会の設立は、環境芸術の社会的役割と実践的行為を対象とした創作活動と理論研究を行ない、観賞者や市民の関心を高めるとともに、市民の側との相互評価によって新しい計画推進を図るものである。この学会の対象とする分野は、宇宙環境から身体環境へ拡がる幅広い領域における創造活動を対象とするため、学会活動の進展の中からさらに新しい活動領域が加わっていくものと考える。

またこの学会においては、緊密な会員相互のコミュニケーションを作り上げるとともに、若い創造者の育成と新しいリーダーの社会的活動の場の形成を目指している。

(平成12年5月1日)


環境芸術学会-24_43各大会2000

2000年度 会長挨拶 山口勝弘(設立総会より)

それでは環境芸術学会というものについて文字を考えてお話したいと思っておりますが、学会という名称は非常にアカテミックなものを想定する訳ですが、先程御挨拶なされました彫刻の森館長のお話にもありましたように、学会というとなにか’お城’のようなものに立て籠ってそこで自己満足に陥っている学会が多々あると思います。それに対して二の環境芸術学会というのは、本来自由に創作活動を続けてこられた方々が中心に集まったわけでありますから’お城’に立て籠るのか番苦手な人達が会員に入って頂いたのだと思います。そういう意味では会長の役割としては、お城の石垣を築くことにならないようにこの学会を風通しのいい、楽しい学会にしていきたいというのが私の願いでもあります。

そういう学会ということで考えてみますと、ます「環境芸術」という言葉、「環境」という言葉と「芸術」という言葉はすでに既成の言葉であります。二の「環境」という言葉について考えてみると、ます何を頼りにしたらよいかといいますと辞書でこざいます。それで「環境」というところをひいてみました。そうしましたら『めぐる』『囲む』『杭』という意味がこざいました。それから『地域』という『4つの方角の外の外界』という、人間からして囲んでいる物の外にある、そういうことが環境というものの定義になっております。そして、人間または生物、それと環境を通して相互作用を及ほしあう働きをするものを我々は環境と考えているわけです。「環境」は「自然環境」と「社会環境」というふうに分けて考えられるんですが、「自然環境」はわかるとして「社会環境」は人間か造り出した環境だというふうに理解すると、人工的な環境もあるし情報の環境、つまりかたちが目に見えないような人間を取り囲む外界に存在するあるいは人間が情報環境の中で生きているということでいうと社会環境の一つに入れることかできるわけです。こういうふうに環境というものか考えていければいいと思います。

実は今度お役所の方で省庁再編というので環境庁を環境省にする、つまり行政の世界ではつ格上げになっているわけてす。格上けになってとういうことをやるのかというとまた環境の内容については発表になっていませんかとりあえすは環境庁の内容を辞書でひいてみますと「自然環境の保護整備なと環境の保全に関する行政を総合的に行う機関である」とあります。ということは自然環境というものが人間にとって色々な角度から環境のあり方の上で非常に危険な危機に陥っている、ようするにそういうことでいうと公害防止とかいうもののためにつくられたお役所だということがいえるわけですが、それに対してこの学会で考えていかなければならない環境芸術とは「守リ」の方から考えていくのではなく、「攻め」ていく方から環境を考えた方が良いのではないか。ということを考えています。

再び辞書を開いてみて「環」と「境」という2つの言葉を別々に調べると「環」というのは『輪』という意味がでてきます。そういうことから、一つの繋がりであってそれはRINGというかたちをしているもので『まわり』とか『めぐる』とかいう意味が入っているとわかるのですが。そして「境」の意味をひいてみますと面白い意味かでてきました。環境というよりもやや精神的な世界とかあるいは哲学的な世界にもつながるような意味が「境」というなかにあるんだそうです。例えば、最初に辞書にでてくるのは『さかい』『くぎリ』『くぎりめ』つまリ「境をつくる」とか「区切りをつける」とかいう意味でありますが、続いて『心』『地域』というそういうものが「境」という意味になっているようです。それぞれに時間的な要素を含んだ状態とか有り様という言葉か「境」という字に含まれているわけです。つまりそこにいる場所だけでなく場所でなにかか動いている状態とか、育っていく有り様とかそういうものが「境」という言葉の意味にありそうです。

さらに次の項目を見ますと『認識作用の対象』という、人間か物をみて判断していく時の対象物が「境」という意味にはいってくるわけです。こうなるとかなり認識論に近いものの場所まで「境」の中に意味としてとらえることが出来る、さらに『高貴な認識』とか『価値判断』というものが次にでてくる。これがこの環境芸術学会にふさわしいような意味だと思っております。
仏教用語のなかに「境」という言葉につながる意味があるのですが、そこには「六境」が上けられている。六つの境とは、「色」とか「声」とか「香り」とか「味」とか「触覚の触」のように、いくつかある。これはまさに五感です。五感によって対象を認識するという意味があるのです。そして六番目は「仏法」ということが挙けられている。二の「法」というのは『理(ことわり)』とか『理屈』とかそういうことが入ってきて先の五つは人間の体から対象を感じるものですが六番目のものは『認識』とか『理解する心理』とかいうものですから、頭で考えるべきものではないかと。六つの境かまさしく環境芸術という「境」の意味に非常に役立つ言葉ではないかと思ったわけです。

環境芸術学会というのは堅苦しい学会ではなくそれぞれのメンバ皆様の感じたり考えたものを様々なメティアや技術によって表していくための学会であると考えると、意外に深いところで我々のこれからの活動に役立つのではないかということを最初にお話して挨拶にしたいと思うのですが。

本日は環境芸術学会が無享に成立したわけですから私か喋るだけではなくて今後の懇親会も含めまして皆様方と情報、考え方の交流を計りながらこの学会の風通しのいい活動を進めて行こうと思いますのでまた様々な御協力をお願いしたいと思っております。以上少し理屈ぽい話になってしまいましたが環境芸術学会の会長の挨拶として以上の話をみなさんにお聞き頂いたわけであります。

2000年『環境芸術学会』設立総会報告・会長挨拶・シンポジウム等 pdf

2001年 シンポジウム「共創の環境芸術をめぐって」 pdf

2000年〜2009年「環境芸術学会10年の歩み」大会内容記録 pdf